スペインで妊娠・出産①~海外出産・妊娠初期の妊婦検診・母子手帳について~

スペイン人の夫と結婚し、マドリードで妊娠したアラサー日本人主婦です。海外出産を決めた理由、妊娠初期の妊婦検診、2か国語版の母子手帳などについて紹介します。

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海外出産を決めた理由

妊活を始めた頃から、日本へ里帰り出産をするか、マドリードで出産するかという話は夫・両親としていました。私自身は、ほぼ迷うことなくマドリードで出産しようと決めていました。一つは、里帰りをすると妊娠後期、出産、育児に夫がどこまで立ち会えるか分からないからです。里帰りの際も一緒に飛行機に乗って送り届けてほしいし、出産時も立ち会ってほしい、そしてスペインに戻るときも迎えに来てほしい…と考えると夫の日本-スペイン間の往復がかなりの回数になる点も懸念点でした。実母の手が借りられないのはとても残念ですが、その分夫のスペインの家族が手厚くサポートしてくれると確信していました。
妊婦のお腹
もう一つは、スペインの方が無痛分娩が普及していることです。日本ではまだ10%以下という無痛分娩ですが、スペインでは当たり前。麻酔の量もスイッチを握って調節できます。日本の無痛分娩の普及率を話すと、スペイン人女性は皆眉間にしわを寄せて「ナゼ?」と尋ねます。私自身、他の先進国と比べると、日本で無痛分娩や和痛分娩が全然広まっていないことに違和感を覚えます。私自身、痛みを軽減する手段があるおかげで、陣痛や出産に対してそこまで恐怖感を抱くことなく、落ち着いてその日を迎えられました。

妊婦検診

妊娠7週で心拍が確認できてから、それまで通っていた婦人科クリニックで毎月妊婦検診を受けました。といっても、ドクターの都合で1か月半ほど間が空いたり、夏休み中はクリニックが閉まっていたりと、きっちり1か月ごとに検診を受けるのはほぼ不可能でした。また、妊娠が確定したら産院探しをして大きな病院に移るのが通例のようで、私のようにお腹が目立つようになるまでクリニックに通っている人はあまりいませんでした。産院をpublicoにするかprivadoにするか妊娠後期に入る直前まで迷っていたこと、クリニックの担当の先生がとてもフレンドリーでエコー動画をスマホで撮らせてくれていたことなどが理由です。

超音波検査

妊娠初期の健診は以下の通りです。

  • 7W2D クリニックで妊娠確定
  • 7W4D laboratorioで血液検査と尿検査
  • 9W1D クリニックで検診
  • 12W3D 別のクリニックで3Dエコー(出生前診断)
  • 12W4D laboratorioで血液検査(出生前診断)

大きな病院で検診を受けていなかったからか、血液検査や尿検査は家の近くの laboratorioで、精度の高い3Dエコーは別のクリニックで受けました。尿検査は自分で薬局で容器を購入しなければならなかったり、出生前診断の血液検査には3Dエコーの結果も提出しなければならなかったりと、 慣れないlaboratorioとのやり取りに手間取ることもありました。

どこにいっても聞かれるため、最終月経日はスペイン語で即答できるようにしておくと便利でした。また、スペインでは妊娠期間がトータル9ヶ月です。第1~3期に分かれていて、月によっては5週間カウントの月もあり非常に分かりづらいです。そのため「妊娠○ヶ月です」と答えると、日本の数え方との違いから誤解を招くことがあり、基本的に私はアプリで表示される「○週○日」の言い方で答えるようにしていました。

ドクターからは主に、葉酸サプリを最終週まで飲むこと、生肉・生卵を食べたり、土や猫との接触することを避けトキソプラズマ症に気を付けることなどを指示されました。トキソプラズマはヨーロッパの方が感染率が高く、逆に日本人は抗体を持っていない人が多いのだとか。スペインではしょっちゅう出てくる生ハムや、半熟卵のオムレツは出産までおあずけです。また、毎回流れ作業のように体重と血圧は測定していましたが、体重管理の指導はほぼないため、自分で日本の情報を見ながら気を付けていました。12週の3Dエコーでは、赤ちゃんの性別も伝えられました。

出生前診断

出生前診断が自動的に組み込まれていることにも驚きました。日本では、35歳以上の妊婦さんが自分で判断をして検査を受けますが、スペインでは妊娠12週に12 marcadores cromosómicosという検査がありました。おそらくコンバインド検査と呼ばれるもので、超音波検査と母体血清マーカー検査を組み合わせて、ダウン症などの確率をチェックします。非確定検査ですが、赤ちゃんに異常があると言われたらどうしようと、少しだけ緊張しました。出生前診断については様々な意見があることを踏まえると、出生前診断をするかという判断が妊婦さんに委ねられていないのはありがたいなとも感じました。

2か国語版母子手帳

母子手帳スペイン語版

日本では、役所で無償交付される母子健康手帳は、海外在住の場合は日本大使館や領事館でもらえるそうです。緊急時やワクチン接種を把握するために必要だと感じ、我が家はスペイン人の夫にも分かるよう、スペイン語と日本語の2か国語表記の母子手帳を自分で購入しました。そして、妊婦検診の記録や緊急連絡先など、少しずつ自分で記入して整理していきました。日本に帰国したり、またスペインに引っ越したりするかもしれないと考えると、予防接種やそれまでにかかった病気など混乱しそうなので、この2か国語版の母子手帳は多いに活躍しそうです。

幸運なことに私は悪阻が一切なく、とても落ち着いた妊娠生活を送っていました。夏場だったのでとにかく暑く感じたり、急な眠気でいつもはしない昼寝をしたりしましたが、それ以外は妊娠前と特に変わらない毎日でした。また、スペインには日本のようなマタニティマークは存在しないため、妊娠後期になってもバスや地下鉄でも席を譲ってくれる人はほぼいませんでした。公共交通機関を利用して出かけていましたが、妊娠初期に悪阻が激しい人は外出するのも一苦労だろうなと感じました。
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