長期で海外に行く場合の住民票
語学留学、ワーキングホリデー、海外赴任、海外移住など、短期の旅行ではなく1年以上長期で海外に滞在する場合に、この「住民票を残すか抜くか」問題が浮上します。住民票を残す場合は、実家の住所などに住民票を置いたまま海外に行きます。住民票を抜くには、「国外転出届」を提出します。1か月前から手続きができるので、出発前日に役所に届け出をする必要はありません。「住民票を残すか抜くか」の決め手となるのが、国民保険、年金、税金です。
国民保険
日本で病院や歯医者にいったとき、支払う金額は3割(年齢によっては2割)です。これは国民保険に加入しているおかげ。住民票を抜くと3割負担ではなくなり、医療費の10割を自己負担することになります。
住民票を残すと
住民票を抜くと
以前1年間海外ボランティアに参加したときは、迷わず住民票を抜きました。今回は「数年後は日本に戻ってくる計画」「でもいつになるか分からない」ことを踏まえ、住民票を残したままアメリカに移住しようと思っていました。将来日本で子どもを産むという選択肢をとる可能性があるかもしれないこと。また、アメリカに住んでいる間に急に病気になり、日本で医療を受けたくなるかもしれないというのが主な理由です。
180度方向転換して「住民票を抜く」という決心に私が至った決め手は、この「国民保険料」でした。前年(1月~12月)の収入をベースに計算されるため、仕事を辞めたばかりの私にはかなり痛い納付額が算出されたのです。日本にいないのに、専業主婦なのに、こんなに納付するの?!これが決め手となり私は住民票を「残す」⇒「抜く」選択へと変化しました。アメリカでは夫の保険に配偶者として一緒に入れるそうなので、アメリカで信頼できるお医者さん&歯医者さんを探そうと決めました。
年金
住民票がある限り、納付が義務付けられている国民年金。国民年金保険料は加入者全員一律です。物価などによって年度ごとに決定され、平成31年(令和元年)度は月額16,410円です。ちなみに、将来そのまま海外に住み続けても、手続きをすれば年金はちゃんと受け取れるそうです。
住民票を残すと
住民票を抜くと
住民票を「抜く」と決めましたが、年金は日本の口座から自動引き落としの手続きをし、アメリカにいる間も納め続けることにしました。単純に、将来受け取る額が減ってほしくないからです。役所の人に、「アメリカでは就労資格がなく専業主婦だが、日本に帰国してからは働きたい」と人生相談をすると、「帰国してから『付加年金』を検討してみては」とアドバイスされました。月々の保険料に400円上乗せをすることで、将来受給する額をお得に増やすことができるそうです。帰国が決まったら検討します。
税金(住民税)
住民税は1月1日に住民票があったところに納めます。私の場合、年の途中で仕事を辞め、東京から地元に戻りました。会社で勤めていた期間は天引きされていましたが、それ以降の都民税がきっちり請求されました。日本にいない期間も含まれるのでなんだか悔しいですが、仕方ありません。
住民票を残すと
住民票を抜くと
年の途中で海外移住をしても、1月1日に日本に住んでいた以上請求が来ます。海外にいる場合は「納税管理人」を立てて払わなくてはいけないそうです。以前住んでいた地域の区役所に尋ねると、「6月に請求書が送られてきます」と言われました。私の出発はそれより後だったので、全て自分で払ってから出国できました。来年以降は「海外転出」しているので請求が来ません。
途中で住民票を戻す
5年アメリカに住んだとして、1、2年目は「海外転出」扱い、3年目以降に考えを変えて住民票を実家に戻すこともできるようです。まだまだ勉強中ではありますが、もし数年後考えが変わったら、国民保険の計算方法や住民税が課される期間を考慮して住民票を戻せばいいです。